介護施設で行われるリハビリは高齢者の身体機能を回復させるのが目的ですが、施設で暮らすのと自宅に戻るのとではリハビリの方向性が変わるので注意が必要です。また、リハビリは人体構造を正しく理解して行わないと、かえって身体機能に悪影響を及ぼしてしまいます。高齢者を対象にしたリハビリで多く見られるトラブルとして、方向性が定まらずに誤った方法で行ったことによる身体機能の悪化があります。リハビリを行う目的を明確に定めず、その場限りの思いつきで正しくない方法を実行してしまうことで、身体機能の回復どころか、逆に悪化させる結果に至ってしまうのです。高齢者に対する確認を十分に行わず、リハビリの知識が無い素人が処置を行うというケースは決して珍しいことではありません。
リハビリにおけるトラブルを防ぐには、高齢者の意思を正しく把握することが最も重要になります。施設で暮らすので全身を万遍なく回復させるのか、自宅に戻るので足腰を鍛えたいのかを正しく判断することが大切です。リハビリを実施する際も素人の見よう見まねではなく、理学療法士や作業療法士といった専門職の人に任せるのが正しい方法になります。専門職の人ならリハビリの方向性を変える必要が生じた場合でも適切に対処できるのが大きな利点です。リハビリは体への負担が大きいうえ、効果が出るまで根気強く続けないといけません。途中で挫折するのを防ぐため、高齢者自身がやる気を維持できるように励ますことを心がけます。